LOG IN

杉恵ゆりかの音楽は「恋をしているすべての女子の味方であり敵である」

by さえり

数ヶ月前、シンガーソングライター「杉恵ゆりかさん」の音楽の紹介文と帯の文を書かないか、と突然連絡があった。添付されていた曲を夜中にダウンロードし、彼女の音楽はようやく暗くなったばかりのスペインの夜に流れ出す。

その声と体に沁みてくる歌詞を受け止め、1曲聞き終わる前にわたしは返事を打っていた。

「ぜひ書かせてください」

彼女の音楽は、毒だ。よくもわるくも、心をかき乱してくる。

思いの丈をぶちまけた紹介文は公式HPに乗っているのだけど、ここにも載せてみよう。もし恋に悩んでいる人や恋に走っている人がいれば、読んでみて、聴いて欲しい。きっと、そういうあなたのための音楽があると思う。

公式HP:http://sugieyurika.com/


恋をしているすべての女子の

味方であり敵である。

彼女の音楽は危険だ。ポップな曲調と、スッと体に馴染む声。なんだかイイ感じ、と思ったら最後、彼女の詩はだんだんと自分の中へ中へと潜りこんでくる。


「Help me 嘘ついてまでも 心配されたい」
「どんなにいたみをおぼえていても うまれたこの愛はほんものよ」
「きずついてもいいの」
「ここで泣いたらかわいいだろうな」


隠していた気持ちが自分の口をついて出てきたのか? と錯覚する感覚に、時に耳を塞ぎたくもなる。それは言わないで、隠してたんだからと言いたくなる。心がツンと痛んで、恥ずかしさにぎゅっと目をつぶって。
……でも本当は少し嬉しいのだ。誰にも言えなかった秘密をわかってくれる音楽があったことが。



—彼女が歌うのは、「恋する女子そのもの」。

彼女は「思春期こじらせ系SSW(シンガーソングライター)」と名乗っているが、恋愛をこじらせていない女子なんてイマドキいるのだろうか?

たくさんの人がいるこの世の中で、好きな人からはいちばんに愛されたい。愛してくれる人を愛せれば楽なのに、本能はそんなに簡単じゃない。綺麗なだけの恋ばかりじゃない。
好きな彼は振り向いてくれないし、愛しているのに愛されなくて、それでも側にいたくて傷ついて。友人に呆れられても、自分すらも呆れても、それでもやめられない。誰かに言いたい、言えない、やめたい、やめられない。

そんな荒れた心の中や綺麗と言えない恋愛の悩み、誰にも言えない火照る気持ちや、まっすぐに走りすぎて傷いた気持ちの数々をぜんぶぜんぶ隠して、わたしたち女子はかわいいふりをして生きている。「なんでもありません、毎日元気です」そういう顔をして、精一杯に。そうやって強がらないと生きていけないのだ。

なのに、だ。なのに、その置いてきたはずのぜんぶを、彼女はポップなメロディに乗せて簡単に歌ってしまう。それも心の奥まで届くような、透き通っていて強い声で。かわいいふりしたあの子とあの子の心の底が、歌にのって溢れてくる。「どうしてわかるの」「わたしもそれなの」誰にも打ち明けられなかった恋が、音楽にのって会話をはじめる。彼女の音楽はたくさんの女子の“リアル”なのだ。

強がっていた気持ちが溢れ、追い風に変わる

聴くうちに好きな人への気持ちが溢れて苦しくなる。大人なふりして諦めた恋が過去から蘇ってくる。傷ついて惨めな気持ちも好きで仕方ない気持ちもぜんぶぜんぶ溢れていく。


パワフルな歌声は、わたしたちに「そのまま走り抜けてしまえ」と呼びかけてくる。少しの不安や迷いを気持ちだけではねのけ、思うように突進して傷ついてもいいじゃない、と。


彼女の歌に励まされるかもしれない。もしかしたら逆に心の奥底までえぐられて涙がでてしまうかもしれない。でもいずれにしても、聴き終わった後はちょっと強くなれる。自分の情けない姿すら愛おしくなる。こんなの、女子の味方であり、敵だ。


このエントリーをはてなブックマークに追加

杉恵ゆりかさん 
twitter:@sugieyurika公式HP:http://sugieyurika.com/



さえり
OTHER SNAPS