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雑な移動式遊園地

by さえり

バレンシアではじめて、移動式遊園地というものをみた。ある日突然Turiaという細長い公園に観覧車のようなものが置かれ、おじさんたちが気だるそうに作業をしていた。

間もなくして、21時から01時までオープンしているといういかにも妖しげな遊園地ができた。

過度な光がピカピカ光っている様子は、歌舞伎町のそれを連想させたし、

子供が運営している様子をみると、ピノキオでプレジャーアイランドに連れてこられた子供たちが遊ぶ遊園地(のちにロバに変えられてしまうシーン)を想起した。いずれにしても「本当に大丈夫?」と少し不安に思いながらも、それでも吸い込まれてしまうような、不思議な魅力があった。

誘った時、友人は「え、まじで行くの?」と言ったけど「なんでいかないの?」と説き伏せた。

入場は無料。乗り物に乗る際にお金を払う。絶叫系のアトラクションは、だいたい3.5ユーロくらいだった。お台場や横浜のものに比べるとずいぶん安く感じる。

うごくキーパーをすり抜けてボールを入れるゲーム
絶対ディズニー怒る

アトラクションのチケット売り場では、携帯をぽちぽち触りながら退屈そうにしている係員がいて、アトラクションが動いている間見向きもしていなかった。

子供がシンプソンズに食べられる(右端の滑り台から出てくる)

人の頭の2倍ほどの綿菓子や、お酒も売っていた。夜23時を過ぎても子供達もわんさかいた。

これもディズニー怒る
これはお化け屋敷前のファンキーミイラ
商品の人形こわすぎ
一番気に入ったアトラクション

立ったまま乗るバイキングには怖くて乗れなかったけれど、代わりにいくつかのアトラクションに乗った、写真の奥に見える棒の先に人が乗り、ぐるぐる回されながら回転するアトラクションにも乗った。ノリで乗ったけれど、お兄さんがタバコをくわえたままカチャカチャとわたしの安全ベルトを締め、ろくに点検もしないで(というように見えた)、スイーッとスタートした瞬間「大変なことをした」と思った。

その後はずっとアトラクション自体の恐怖というより、安全性に対する不信感に怯えていた。ここで死んだらまじで笑えると思った。頂上で止まっている間は怖さを紛らわすために友人と一緒に叫んだ。

思いついた言葉は「おにぎりーーー!!!」だった。

バレンシア中に聞こえるように全力で声をだしながら「おにぎりーーーっっ!!」と叫んで、叫びながら震えていた。

降りて二人でファンタを飲んだ。げっそりしていたけど、なぜか笑えた。

結局これだけ妖しげな遊園地がすっかり好きになり、私は友人と三度ここを訪れた。友人は呆けたように散財していたし(あれには笑った)、他の友人は頑なに「死にたくないから乗らない」と言った(それは真っ当な意見に思えた)。

安全性は?こんなに夜中に子供の教育は?近隣住民が騒音で迷惑しています。夜中まで観覧車が光って眠れません。などと、誰も言わないのだろうか?

これはきっと日本ではできないだろうと思った。昨日なかったアトラクションに乗ってみるような、夢の中に手放しで飛び込むような勇気は、大雑把で寛容な国民性がもたらすものなんだろう。

8月までやっているらしい。きっと今日もタバコを吸いながら、おじさんは発車のボタンを押しているだろう。


さえり
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